高齢になり、相続の心配もしなくてはいけなくなった場合、心配になるのが相続税です。自分の死後、なるべく多くの財産を残してあげたい場合は、建て替えによって相続税の節税を考えてみてはいかがでしょうか。

なぜ、建て替えが相続税対策となるのか?

相続の際に残される財産には、相続する財産の価値に応じた相続税が課されるのですが、その計算は基礎控除額の3,000万円に600万円×法定相続人の人数を加えた金額が控除されます。例えば法定相続人が3人の場合、3,000万円+(600万円×3)=4,800万円が控除されるので、その金額以下であれば課税はされないことになります。また、例えば相続する財産が1億円だった場合は、1億円から4,800万円を差し引いて、5,200万円に相続税が課税されます。
ただし、この金額は全てを現金や預貯金として所有していた場合です。相続する財産が不動産だった場合は、取得金額ではなく固定資産評価額で算出されることになるのですが、その時の金額はおおよそ建築価格の6割から7割程度となります。
つまり、法定相続人が2人の時に、3,000万円の評価額である自宅と土地、そして3,000万円を相続した人がその3,000万円を使って自分で建て替えた場合、相続税は6,000万円―(3,000万円+1,200万円)=1,800万円に課税されることになるのですが、相続前にその3,000万円を使って自宅を建て替えた場合、相続額は3,000万円+3,000万円×0.7=5,100万円となり、900万円分しか相続税が課税されなくなります。
そのため、自宅を相続する人がいて相続後に建て替えるつもりがあるのであれば、その前に建て替えてしまってから相続したほうが相続税を減額することができる、ということになります。

売却を予定している場合はやめたほうがいい

もしもその不動産を使うつもりがなく、相続後に売却するつもりでいる場合は、建て替えをしない方がいいでしょう。例えば法定相続人がいずれも遠方に住んでいる場合などは、いくら建て替えたとしても相続後に住むことはないと思われるので、建て替えたとしても無駄になります。
もしも建て替えたけれど住む人がいない場合、売却する際にはたいていの場合建築費用の元が取れるような価格で売れることはないので、ただ財産が目減りすることとなります。その場合は建て替えではなく、他の方法で相続税対策をする方が無難でしょう。
そういったすれ違いを起こさないためにも、相続人とはあらかじめ話し合っておいた方がいいでしょう。特に複数の相続人がいる場合は、せっかく建て替えた家を相続の際にもめたためにすぐ手放してしまった、ということにならないよう気を付けましょう。